Kojima-Seminar.NET

2015年を過ごされるこのサイトをご覧のみなさんへ

新年あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。 また、忘年会に参加してくださったみなさん、ありがとうございました。

忘年会に参加できなかった方も、次回はぜひご参加ください(次回、夏の飲み会はゼミ開設20周年です)。

今年の抱負ではなく、これからの抱負

新聞紙上では企業のトップが今年の抱負を紹介する記事が出ていたり、(大学にはありませんが)学校の始業式では校長先生が念頭挨拶で今年の抱負を考えましょうと言ったことをよくお話になります。

学生生活においては中間テストや期末テスト、受験など節目節目に乗り越える壁が自動的に(制度的に)出てきます。この記事をお読みであろう児島ゼミの現役生のみなさんにとっては、就職活動、卒業論文の作成という節目の乗り越える壁が目前に控えています。

10年以上学校制度の中ですごした現役生のみなさんにとっては、望むと望まざるとに関わらず勝手にやってくるこの節目はこれが最後になります。めでたく就職が決まり、卒論も提出して卒業式。そして、4月1日には晴れて入社式を迎えることになるわけですが、その後は会社の制度上昇格試験などがあるかもしれませんが、もう乗り越える壁はまず与えられません。

もちろん、結婚や出産、育児、または親の介護など、これまでとはテイストが違った節目はやってきます。しかし、これらの節目は「何歳になったから、このステージに行きなさい」といった与えられるステージではありません。自らがそれを選択して意思決定をすることで、これからの節目はやってきます。

まだ、これらのライフイベント的な節目は大きく、そしてわかりやすいものです。そして、これまでの学校生活のように6年、3年、3年、4年といった短期的なスパンではなく、それぞれがゴールのない長期にわたるものになっていきます。つまり、これからの節目は新しいことへ切り替わるものではなく、節目に選択したものがすべて上乗せになっていくのです。

今までは就職が決まるまでは就職活動だけのことを、それが終われば卒業要件に満たす単位を取得すること、それはつまり卒論を完成させることですが、1つ1つを確実にこなして次がやってくるものがばかりですが、これからはあれもこれもやらないといけなくなります。現役生のみなさんはこの点について今からよく考えておいたほうがよいでしょう。

そしてここ数年で大学を卒業し会社で苦労している若手のOB/OGの方には、こういった視点を組み入れることで、自分が何に苦労しているのかわかりやすくなります。

仕事とは何か。現役、OB/OG問わず

さて、クラウドサービスでおなじみのEvernoteの日本語ブログにこんなことが書かれていました[1]。

「仕事」と聞くと、オフィスでの事務作業を思い浮かべるかもしれませんが、Evernoteの考える仕事は、「あなたが何かを成し遂げるためのすべてのこと」です。それは趣味の世界から、いわゆるオフィスでのビジネスまでのとても広い範囲の活動を含みます。

Evernoteの考える仕事とは、学校を卒業しどこかの会社で労働することにとどまらず、それら以外のことも含めて仕事としているのがわかると思います。児島ゼミは経済学部のゼミなので経済学的な書き方をすれば、仕事とは個人が労働をすることで生産を生み、そして所得を得ること、といったイメージでしょうか。

ところが上記のようにEvernoteでは趣味を含め「何かを成し遂げるためのすべてのこと」といっています。そのため、仕事=所得を得ること、つまり給与をもらうことだけが仕事ではないことになります。

筆者と同期(3期)の川北はEvernoteで働いてみえるお二人のお話を受けがったことがあるのですが、そのお一人である上野美香さんは次のようにおっしゃっていました。

これらは講演を聴講しながら筆者がツイッターでつぶやいたものですが[2]、Huffington Postにも掲載されています[3]。

フリーランスでの仕事や個人的に参加するプロジェクトを通して考えたのは、「本業」と「副業」の境目についてです。「本業があるから」とか、「副業は…」って、個人的に違和感があるんです。「主」と「従」というような区分けではなくて、自分がやることはすべて本業、本気でやって楽しめばいいと思うんです。

私は仕事やボランティアをする上で、いくつか自分で決めてることがあります。

まず報酬がある仕事でもないものでも、自分が必ずコミットできることをすること。それから、人や社会にいい影響があることに関わりたい。そしてあらゆるものは必ず変化していく、という前提で考えるようにしてます。世の中の流れも技術もツールもすべて数年おきに変わっていきます。それに自分が柔軟に対応していくということを常に頭に入れておくといいんじゃないかと思っています。

自分の軸を持っていると、仕事やプロジェクト、好きな事っていうのは自分で探せるし、選べるし、作り上げられるんですね。おもちゃのレゴみたいに好きなように作っていける。自分で自分の体験をデザインして、発信していくと色々な気づきもあるし、周りから巻き込んでもらえる事も、自分から巻き込むこともできるんじゃないかなと思います。

筆者は上野さんのお話から次の3点を意識するようになりました。

  • 大小問わず人や社会から切り離して生活することはできません。必ず関わりが出てきます。その関わりに対しては、アクティブに関わっていこう。それが仕事で報酬があるならばなおさら。
  • 勤務時間中は会社第一になるが、それ以外のことも仕事と同等に優劣をつけずに目一杯やろう。
  • そのためには、いつまでも会社の仕事を引きずらず、早く仕事が手から離れるようにしよう。

この3点を押さえておけば、あれもこれもやらなくてはいけない状況になっても対処できるし、そういう状況ではないときは逆にあれもこれもやってみようと考えることができそうです。

すでに児島ゼミ生で、あれもこれもやっている人がいる

先日こちらのウェブサイトでも紹介されていた5期生の榊原くんは、名古屋の観光地を写真で紹介していこうというサークル、写步ろを共同で主催しています。毎月コンスタントに2回は講習会を開催し、多い日には午前の部、午後の部、夜の部と3部構成の1日がかりのときもあります。彼は、コンデジや携帯電話からでも綺麗に写真が撮れるようになりたいという人向けに講習会を開催しています[4]。

3期生の篠塚さんは毎週1日、車で1時間ほどかけて子どものハンドボール教室でコーチをしています。彼もやはり学生時代からハンドボールをやっていて自分の子どもが通うようになり、また自身もハンドボールのプレイを楽しんでいます。

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篠塚さんがコーチを務めるハンドボールクラブの2014年最後の練習風景。12月25日のためクリスマス衣装のコーチ陣(篠塚さん撮影)

 

彼は家業を継いで多忙な毎日ですが、仕事が忙しいからこそハンドボールの時間は確実に確保するようにしていると以前言っていました。自営業だけに、やろうと思えば仕事の時間を際限なくとることができます。そこをあえてハンドボールの時間をとることでリフレッシュのタイミングを取っているのでしょう。多忙を極めるときは、ハンドボールから戻ってきてからまた仕事を行うこともあるそうです[5]。

児島ゼミ生インタビューにも登場した1期生横井さんと、4期生石川さんは剣道です。

石川さんは先日のインタビュー記事でもおっしゃっていますが、今でも週に3回は防具をつけて練習に励んでいるそうです。篠塚さんと同様に、子どもの剣道クラブの監督もやっています。彼は1期の横井さんと勝負するまではアキレス腱を切るわけにはいかないと言っています[6]。

その横井さんも剣道現役で、先日は5回目の挑戦で6段の段位を取られたそうです[7][8]。

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剣道六段審査会会場の模様(横井さん撮影)

 

さて、いずれの方々にも共通しているのは自分が好きなことをやっていることです。そして、しっかりとそれらにコミットしていることです。これらの活動は一時の気まぐれではできません。

参加してくる人も、そのために時間を割いて参加しています。参加してくる人たちは、そこにいる人たちを見て参加するかどうかを決めています。コーチにせよ監督にせよ、やる側がコミットしていないグループに参加しようとする人はいません。

コミットするとはどういうことか

多少仕事が忙しくなろうが疲れがたまろうが、必ずそのグループの活動があるときには積極的に参加し、参加中にはそれを第一に考えて行動することが必要になります。

もちろんそれは参加中だけに限りません。日程調整などの事前準備が必要であり、ものによっては体育館の予約など関係方面との調整が必要な場合もあります。調整先の窓口の人は仕事ですので、当然自分の勤務時間と重なってしまう場合も考えられます。そういった場合でも隙間時間をうまく見つけ電話対応するなどの工夫が必要になります。

コミットするとは自分の生活サイクルの中にしっかりと、かつうまく組み込ませ、加えて参加してくる人たちに「よかった」と言ってもらえるようにすることだと言えます。

これは考え方の問題ですので、人によっては平日は仕事に専念し、休日は体を休めるのが一番だという人もいます。確かに本業をおろそかにすることはできません。それが経済的な柱になっているからこそできる活動だからです。しかし、様々なものと本業とは違うことでコミットすることが、そのままイコール本業を疎かににしていることではありません。

どこまでが専念で、どこからが疎かなのか

それは割いた時間が何時間以上といった、定量的な問題ではありません。その場その場で必要に応じたことを不足なくやることが重要です。

主と従の関係から離れる

こういった生活のあり方を考える際に問題になるのが主従関係です。自営業者でない限りは概ね何かの従業員であると想定すると、その中では文字どおり主が別にいて自分は従になります。

しかし、従の中にあってもそこで与えられたやるべきことをどのようにやるのかという視点にからは、我々は主になります。なぜならば、雇われていようがそうであるまいが、与えられたことをやるのかどうかを決めるのは、その時点で再度我々に裁量権があるからです。

ここで真っ先に「会社員なんだから勤務時間中は会社のいわれた通りにやるだけじゃないか」と頭をよぎった方は、すでに危険水域に入っています。会社は何から何までやり方を示してはくれません。

最近会社の若手と接していて感じるのは、知らないことがそのままわからないこと、できないことになってしまっていることです。 物事は知らなければできませんし、やり方がわからなければ何もできません。しかし、それ自体は知らないことでも過去に経験したことを思い浮かべたり、他の事例で考えたプロセスを応用すれば、知らないことでもひょっとしたらできることである可能性は十分にあり得ます。

残念なことに、過去の経験を思い浮かべたり他の事例を応用するという工夫のできない人が非常に多いのが懸念されます。 カーナビは目的地を入力すればほぼ間違いなくそこへ連れて行ってくれますのでそれに従っていればよいかもしれませんが、生活時間のほとんどは自らが主となって動かなければ何もことが進まないのが真実です。

制度上、主従の関係は必ずついてきますが、従の中でどう立ち居振舞うのかは本人の問題でありそれはその人にとって主です。従であることは一見どこか保証してくれるイメージがありますが、そんなものは何1つ存在しません。だからこそ、すべてのことに自らが主となって動かなければ、様々なリスクが高くなります。

リスクの件については別の文書に譲りますが、精神的に従であり続ける限り、機会(チャンス)を逃すリスクは計り知れないほど高くなるでしょう。

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Tokyo Work Design Week 2014で講演される、Evernoteの上野美香さん(筆者撮影)

 

大学生は全員、自らが主であると考えること

大学生は何事においても自由です。単位を取得するために講義に出席しなくてはいけませんが、4年間の時間を考えればその拘束時間は大した割合ではありません。アルバイトをしないと遊ぶお金は生まれてきませんが、それをプラスしたところで4年間における拘束時間の割合は大して大きくならないでしょう。それはすなわち、大学生は従である時間がほとんどなく、持てる時間のほとんどが自らに主があることになります。

高校生までは従の中で慣らされていましたので、自らが主になることのトレーニング時間を与えられる最後の4年間です。これを読んでいるゼミ生であれば、3年生としてもあと2年間です。その期間がすぎれば、トレーニング期間を与えてもらえることは全くなくなります。

会社勤めになれば、会社はある程度の育成期間を考慮しているとしても、それは具体的な業務の習得についてであって自らが主となって行動を促すようなことにまで時間を割いてくれません。なぜならば、会社はすでにそのように行動がとれる人と判断して私たちの雇用を承諾しているからです。文章の書き方、プレゼンの方法、周囲との調整、挙げきれないほど自らが主となって動かなければ進まないことばかりが大学を卒業した途端に降ってきます。会社は、その社内用の文章の書き方などは教えてくれる程度です。そういう意味では、会社に入ることがそのまま仕事ができる人にはならないという事例から一目瞭然でしょう。

主として行動することは素養です。普段から心がけていなくてはできるようにはならないことです。時間を豊富に持っている現役生は、あとは心がけ一つで自分が主になるトレーニングができる環境にあります。 当然人には得手不得手がありますので、心がけさえあればなんでもできるようになるわけではありません。また、素養はこれまでの積み重ねですので、例えば本を読んだ機会が少ない人にいきなり文章をうまく伝わるように書けといわれても、それも不可能です。 話し下手な人が、心がけさえあればプレゼンが上手くできるようになるものでもありません。

自分が主となって行動するためには、何事も前準備が必要であるように、主となって行動するために必要な様々なものから学ばなくてはいけません。そのように考えると、2年〜4年の残された時間は、決して多くはありません。

ここでOB/OGから一つアドバイスができるとすれば、次の2つ

お金がかかるものは大学に買ってもらえ

筆者が学生であった頃は今日ほどIT機器が気軽に手にできるものではありませんでした。しかし、日に日に取り扱うデータ量は増加しますし、また日々新しいソフトが発売されます。そういったものは学生のアルバイトで購入できるものではありません。

ではどうするか。大学に買ってもらっていました。

今も昔も変わらず大学に買ってもらう最たるものは本です。講義のレポートにせよ卒業論文にせよ、立派な学術活動ですので資料となる本はいわゆる専門書になり大変高価なものも多数あります。それらにアルバイト代を注ぎ込むことも必要ですが、全部を賄うことは不可能です。また、書店で在庫があるものならば試し読みして購入の可否を判断できますが、専門書になればなるほど一般書店での在庫はほぼなくなりますので内容を確認せずに購入しなくてはいけないケースも出てくるでしょう。購入した後で目的と違ったとなっても返品はできません。

そこで、図書館を使うのです。図書館のカウンターで書籍の購入を依頼すれば、まず不採用になることはありません。 学術活動に必要な資料を取り揃えるのが図書館の役割であり、そのために図書館司書という専門職の方がみえるのです(筑波大学に併合されましたが、かつては図書館情報大学という、その分野を専門に教育する大学が存在しました)。

そもそも、その購入費用は他でもない、現在在学している学生の学費から賄われるのですからすでにその購入費用は前払いされているのです。ほぼ無制限に近い、図書のプレペイドカードを持っていると考えれば図書館は甚だ便利な存在です。

OB/OGをうまく使え

OB/OGも年を重ねていくと学生時代にトレーニングされたことでも、日常生活で使用する機会に恵まれないとどんどん腕が落ちていきます。例えば会社では企画書や稟議書を作成することはことあるごとに発生しますが、いざ卒業論文のように長文を作成するとなると機会が途端に減少します。また、人の作成した文書といっても企画書や稟議書の類のものはある程度定型化されていて、ポイントが漏れていないかのチェックに近いイメージになってきます。他人の書いた文書、それも長文となると意外と読む機会は少ないのです。

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OB/OG会冬の祭典「忘年会2014」でのヒトコマ(田邊君撮影)

 

そして、世の中の最新事情はその市場にいる人が最もよくわかっているものです。学術活動に関わらず、世の中の行動は全てが新しい価値を生み出すことです。学術活動では新しい何かを生み出すことはできますが、それが市場でどのように流通し、そこでどのような価値(情報、物質等全てを含む)を生み出しているのかはそれに直接携わっている人間が最も詳しいに間違いありません。

幸い、児島ゼミも今年で20年になりますので多数のOB/OGが存在します。Facebookで一声かければ年末の忙しい時期にも関わらずパッと20名近くが集まります。また、Facebookの児島ゼミタイムラインを眺めていると結構な頻度でOB/OGが顔を出していますし、また顔を出したいという声も見受けられます。

そうして利用したOB/OGは卒業後も利用できます。実際、筆者も解決できない問題が発生するとそれを専門としているOBへ連絡してアドバイスを請います。現役時代に培った人間関係が、15年後に役に立つのですから今後どのようなケースがあり得るのかは相当に有望な未知数です。

おわりに

忘年会を終えて2014年を振り返ると、どこかしこに児島ゼミ生の顔が登場することに気がつきました。そして、それらの方々は筆者とはゼミの時間を共にしていない、つまり重なっていない年代の人たちが相当に多いのです。

忘年会の席で前出の榊原くんが「先輩のことを知ったのは大学を卒業してからだ」と言っていたのが印象的ですが、よくよく考えればあの場に居合わせたOB/OGのうち、ゼミの2年間で顔をあわせたことがある人はほとんどいません。前述のように本業においてもOBのアドバイスを請うたり、榊原くんが主催する活動には楽しく参加させていただいていますが、思い返すと自らが主となり行動をしている人が筆者の周囲には多数いることに改めて驚きを感じます。

Evernoteの方のお話でも紹介したように、「自分がやることは全て本気であたればいい」というのが目下我々の目指すところであるように思われます。

そのためにも、筆者は管理人と一緒にこのウェブサイトはどういう形で提供されることが望ましいのかを考えなくてはなりません。

2015年も楽しい1年にしていけそうです。

 

脚注

[1]https://blog.evernote.com/jp/2014/12/25/46279(2014年11月14日、Evernote日本語版ブログ掲載)

[2]講演会の模様を筆者がTwitterでつぶやいて実況中継をしていた。また当日のハッシュタグ#twdw2014でツイートのまとめを”Togetterで作成している。https://togetter.com/li/747734?page=1

[3]https://www.huffingtonpost.jp/careerhack-enjapan/evernote-ueno_b_6345320.html(THE HUFFINGTON POST 投稿日: 2014年12月25日 14時28分 JST)

[4]https://www.kojima-seminar.net/2014/12/shaphoro/(2014年12月16日、当サイトにて掲載)

[5]篠塚氏のFacebook https://www.facebook.com/profile.php?id=100002175805629&fref=ts

[6]https://www.kojima-seminar.net/2014/12/keitaro_ishikawa_01/(2014年12月6日、当サイトにて掲載)

[7]横井さんのFacebook https://www.facebook.com/yasuhide.yokoi.18

[8]https://www.kojima-seminar.net/2014/06/yasuhide-yokoi-inverview/(2014年11月6日、当サイトにて掲載)

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